突然ですが、こちらの画像をご覧ください。
こちらの構造物は、トイレットペーパーの芯を折り畳んで入れ子状にしてコンパクト化した圧縮芯です。
使用されている芯の本数は300本、作成に要した期間は3年近くにもなります。
というわけで、これらの圧縮芯が生まれた経緯やその過程で起きた出来事、突き当たった謎等々を紹介します。
※この記事は以下の記事を1本にまとめて加筆修正したものです。
hassium277.hatenablog.com
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※以降、これらの参考記事について度々言及しますが別に読まなくても大丈夫です。
はじまり
全ての始まりは、2019年4月。
当時私が住んでいた部屋のトイレは、風呂場と一体になったいわゆる「ユニットバス」だったため、トイレ内にトイレットペーパーの予備を置いておくと濡れてしまうという問題を抱えていました。
なので予備のトイレットペーパーは個室の外に置き、途中で紙が切れたら
個室のドアを開ける
↓
全力で手を伸ばして新しいトイレットペーパーをとる
↓
トイレットペーパーホルダーから使い終わったペーパーの芯を外し、
新しいロールをセットする
↓
芯を個室外へ投げ捨てる
という手順を踏んでいました。
怠惰な私は用を足した後に部屋に転がっている芯の回収を怠り、いつの間にか私の部屋の中には計13本ものトイレットペーパーの芯が散乱する状態になっていました。

そんな中で、ある日突然「トイレットペーパーの芯を折り畳んで入れ子状にしてコンパクト化したい!」という衝動に駆られました。

一本の芯の中に9本の芯がピッタリ収まり、計10本の芯からなる最初の圧縮芯が誕生しました。
完成したときの達成感、手になじむ重さ、整った形状により妙な愛着が沸き、こうして私の芯収集は何となく始まったのでした。
第1章
2019年の12月末、何となく始まった芯収集・圧縮芯作りは100本の大台へと到達しました。

最初はただ何も考えずに集めていましたが、次第にいくつかの興味深い事実が明らかになり、それに伴って不可解な謎が浮かび上がり ー そして、とある事件が発生しました。
※この章の内容は以下の記事を再構成したものです。
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長さの違い
同じ銘柄のトイレットペーパーでも、芯の長さには若干のばらつきがあることに気付きました。

このばらつき方というのが少し変わっていて、一定範囲内のランダムな誤差があるのではなく「ほぼ全部同じ長さだが、稀に1~2mm程度長いものが混ざっている」という感じでした。
謎の文字
芯を注意深く観察すると、謎の文字が書かれていることがわかりました。

この文字、芯の内面でも外面でもなく芯を構成する紙の中に書かれています。
書かれている内容の判読はできませんが、数字らしきものが書かれていることがわかります。
また、同時期に購入したキッチンペーパーの芯からも「紙の中の文字」が見つかりました。
こちらは「nepia」「r1808052」と読めました。
事件
10本目の圧縮芯が完成する、つまり芯の総数が100本に到達する直前になって、ある事件が起きました。
それまでは必ず同じ店で全く同じ銘柄のトイレットペーパーを買い続けていたのですが、その日はたまたまいつもの銘柄が売り切れていました。
仕方なく別のトイレットペーパーを買ったのですが、1ロール目を使い切ったところで異変に気付きました。
芯が異様に硬い。
それだけではなく、
折ると破けます。
これを圧縮芯に使うことで、折り目をつける際に指にかかる負荷が増大し、折った際の見た目が汚くなることで芯収集のモチベーションの一角を担う「圧縮芯への愛着」を低下させ、さらに従来の芯に関する謎の解明から遠ざかってしまう結果となりました。
ちなみに新種の芯にも長さの誤差はありましたが、謎の文字はありません。
代わりに外側に数字が書かれていて、少なくとも9本はすべて同じ並びになっていました。(残りの3本は既に別の圧縮芯に入れてしまっていたので確認できませんでした)
さて、これで終わりならまだよかったのですが、悲劇は続きます。
以前買っていた銘柄を忘れてしまいました。
そしてさらに、芯が硬いペーパーがいつもの店での最安値の座に居座り続けるようになってしまったのです。
これにより、柔らかい芯に再会するための長い旅が始まったのです。
第2章
2020年9月末、芯の本数は200本に到達しました。
先述の事件の後も私は安さに釣られて芯の硬いトイレットペーパーを買い続け、芯が溜まるたびに指先をボロボロにしながら圧縮芯を作成し続けました。
そんな中でも柔らかい芯との再会を願い続けていたのですが、その意思によって事態は思わぬ方向へと転がり始めました。
※この章の内容は以下の記事を再構成したものです。
hassium277.hatenablog.com
歪み
第1章で「芯の長さは若干個体差がある」と述べましたが、100本収集完了後になってから新たな個体差が観測されました。
縁が歪んでいます。
5月の中旬頃に最初の1本が見つかり、それから合計で3、4本程出現しました。
3代目
収集途中で、一度だけ違う銘柄のトイレットペーパーを買ったことがありました。
理由としては安かったというのもありますが、「失われた初代」への希望というのもありました。
失われた初代というのは、収集開始直後から100本収集完了直前まで買っていた「柔らかい芯」のことです。
あれからも私は安さに釣られて芯の硬いトイレットペーパーを買い続け、芯が溜まるたびに指先をボロボロにしながら圧縮芯を作成し続けました。
そんなある日、「それ」は私の前に現れました。
他人から見ればただちょっと安いだけのトイレットペーパーに過ぎなかったでしょうが、私の中の「何か」が囁きました。
「こいつこそ、失われた初代なんじゃないか?」
結果は散々なものでした。
この写真の中の最前列の右から2本目全部と、その右の束の中心部分が「それ」です。
まず、明らかに色が違います。
そして紙の硬さは2代目を凌駕し、しかも接着が弱いのか折っている途中で剥がれだす始末。
何故あれを初代であると思ってしまったのかは、今となっては知るすべはありません。
しかし、落胆のどん底の私には、まるで悪魔の囁きであったかのようにも思えました。
再会
闇の3代目を掴まされた後、私はすぐに2代目と同じ製品を買った・・・はずでした。
無事に1ロール目を使い終えた直後、私の体に衝撃が走りました。
トイレットペーパーホルダーから出てきたのは、既に折り慣れ始め、「3代目よりマシだな」と再評価された2代目とは明らかに別物でした。
上から2代目、3代目、そして問題の新・2代目(以下、4代目)です。
2代目と3代目は芯を構成する紙の縁が重なっている部分がありますが、4代目にはそれが無く紙の合わせ目は溝になっています。
しかし、私が衝撃を受けた理由は、手元にあるそれが2代目と異なっていたというだけではありませんでした。
この4代目、失われた初代とあまりにも似ているのです。
具体的な共通点は以下の通りです。
縁の重なり | 巻き方向 | 文字 | 紙質 | 色 | |
初代 | 無し | 左 | 紙の内側(内容不明) | 薄くて柔らかい | 白 |
2代目 | 有り | 右 | 「H」+数字 | 厚くて硬い | 白 |
3代目 | 有り | 左 | 「この紙管はトイレに流さないでください」と数字(緑色) | 厚くて硬い | 灰色 |
4代目 | 無し | 左 | 紙の内側に「nepia」と数字 | 薄くて柔らかい | 白 |


紙の内側の文字が判読可能であるという事を除けば、4代目は限りなく初代と近いのです。
このことから、ある2つの重大な仮説が導かれます。
まず1つ。トイレットペーパーの芯は、製品自体が変わらなくとも突然別物に変わる可能性があること。
3代目の後に2代目と同じ製品を買ったというのは、自分の感覚を信じれば正しいはずなのです。
後の4代目を買う際に、「いつもの」棚から見つけ、いつも通りにかごに入れる感覚があったのを鮮明に覚えています。
そして2つ目。3代目こそが失われた初代であったかもしれないこと。
1つ目の仮説が正しければ、それは初代に対しても適用できるはずです。
つまり、私が2代目の製品を買っている間に初代の製品の芯が変更され、そのタイミングで私がそれを買ってしまったと。
ということは、3代目に出会ったときに聞こえたのは悪魔の囁きなどではなく、失われた初代の記憶を必死に集めて導き出された、私の深層心理の訴えかけであったかもしれないのです。
第3章
2021年9月末、芯の本数は300本に到達しました。
第1章の事件は第2章で多くの発見と多くの謎を生み出し、最初は完全に無意味だった芯収集に対して私はもはや無関心ではいられなくなっていきました。
そこで私は従来の無心での収集生活をやめ、事態の整理と謎の解決へ向けた一手を打つことにしました。
収納
以前までは圧縮した芯をジェンガのように積み上げて保管していましたが、本数が多くなってくるとどんどん不安定になっていきました。
どうしたものかと思っていたところ、部屋の中にいい感じの箱が転がっているのを発見しました。
というわけで、その箱に芯を収納することにしたのですが、
信じられないぐらいピッタリ収まりました。
このままふたを閉めて隣人に「つまらないものですが・・・」と言って渡したくなるぐらいのピッタリ感です。
なお、この箱には28本しか入らなかったので、残りの2本は別の箱に仕舞いました。
仮説と記録と真実
第2章までで、トイレットペーパーの芯の種類について以下のようなことが起きました。
- 芯が100本に到達する直前で、それまでのものとは性質の大きく異なる芯が使われているトイレットペーパーを買ってしまった。(最初期の芯を「初代」、その次を「2代目」とした)
- 初代の製品名が分からなくなったので、しばらく2代目の芯が使われている製品を買い続けた
- ある時「もしかしてこれが初代では?」という直感に突き動かされて2代目と異なる製品を買ったが、初代とも2代目とも異なる芯(3代目)が出た
- 3代目を使い切った直後に2代目と同じであろう製品を買ったところ、初代に酷似した芯が出た。
それぞれの芯の特徴は以下の通りでした。
縁の重なり | 巻き方向 | 文字 | 紙質 | 色 | |
初代 | 無し | 左 | 紙の内側(内容不明) | 薄柔 | 白 |
2代目 | 有り | 右 | 「H」+数字 | 厚硬 | 白 |
3代目 | 有り | 左 | 「この紙管はトイレに流さないでください」と数字(緑色) | 厚硬 | 灰色 |
4代目 | 無し | 左 | 紙の内側に「nepia」と数字 | 薄柔 | 白 |
そして、以下のような仮説が誕生しました。
仮説1:トイレットペーパーの芯は、製品自体が変わらなくとも突然別物に変わる可能性がある。
仮説2:初代と3代目は同じ製品かもしれない。
これらを事実ではなく仮説として紹介したのは、それまでに購入したトイレットペーパーの製品名が把握できておらず、正当性を検証できなかったからに他なりません。
ということで私はこの仮説に立ち向かうため、第2章の元の記事の投稿後から購入・消費したトイレットペーパーの記録を残すことにしました。
具体的には、以下の項目を書き留めておきました。
- トイレットペーパーの購入日
- トイレットペーパーの使い切り日と購入日
- 芯の特徴
- 圧縮芯の作成日と作成時に気になったこと
2020年の10月1日から記録をとり続け、その間に私は2種類の製品を買い、3種類の芯を確認しました。
それぞれの芯をタイプA~Cとし、特徴をまとめると以下の通りになります。
仮称 | 縁の重なり | 巻き方向 | 紙質 | 色 | 製品名 | 旧称 |
タイプA | 有 | 右 | 厚硬 | 白 | ネピネピトイレット無香料ダブル12R | 2代目 |
タイプB | 有 | 左 | 厚硬 | 灰 | リリナリサイクルトイレットペーパー12RW | 3代目 |
タイプC | 無 | 左 | 薄柔 | 白 | ネピネピトイレット無香料ダブル12R | 初代/4代目 |

以下、ネピネピトイレット無香料ダブル12Rを「N」、「リリナリサイクルトイレットペーパー12RW」を「L」と呼びます。
さて、これらの結果から、先述の仮説に対して以下のような推測ができます。
仮説1:トイレットペーパーの芯は、製品自体が変わらなくとも突然別物に変わる可能性がある。
⇒真
表にある通り、Nの芯はタイプAのときとタイプCのときがありました。
よって、「製品自体が変わらなくとも突然別物に変わる」という現象が実際に確認されたことになります。
仮説2:初代と3代目は同じ製品かもしれない。
⇒偽?
Lが3代目と同じタイプBの芯だったことから、3代目はLと同じ製品かもしれないと考えるのが自然です。
そして、タイプAとタイプCがどちらもNだったことを考えると、3代目と初代が同じ製品であると考える理由はないように思えます。
そもそも、改めて第2章の内容を振り返ると仮説2の存在自体がとても不自然に思えます。
2代目と違う製品を買ったら新種の芯が出た。その後2代目と同じであろう製品を買ったら初代そっくりの芯が出た。だから3代目と初代は同じかもしれない。
事実と合致する可能性はあっても、推論としては明らかに不自然です。
どうやら、第2章のもとになった記事を書いていた当時の私は自分の直感に裏切られたことが相当ショックだったらしく、タイプCとの再会という奇跡を利用して仮説2という虚像をでっち上げ、その虚像に縋り付いて自分の直感を無理矢理正当化しようとしたようです。
ところで、記録をつけたことによって新たな事実も見え始めました。
タイプCである4代目を購入したのは、おそらく2020年の8月の中旬でした。
そして、2020年10月1日に買ったNの芯はタイプAでした。
その後しばらくNからはタイプAが出続け、たまにLを買ってタイプBが出たりして、次にタイプCを買ったのは2021年の8月26日でした。
第1章の元の記事を投稿したのが2020年1月26日で、Twitterの投稿によれば1本目の圧縮芯が完成したのは2019年4月2日でした。

これらの情報を図示すると以下のようになります。

この図から、以下の仮説を立てることができます。
仮説3:Nの芯は秋~冬頃の短期間にだけタイプCに移り変わる。
しかし、ここまで真剣に読み進めた方なら疑問に思うでしょう。
「圧縮芯1本目完成から9本目完成までの約1年間、タイプCが出続けたのは何故?」
確かに、その期間ずっとタイプCが出続けたとすれば仮説には当てはまらないことになります。
しかし、実は第1章・第2章において、私は非常に重大な点を見落としていたのです。

それはタイプDの存在です。
仮称 | 縁の重なり | 巻き方向 | 紙質 | 色 | 製品名 | 旧称 |
タイプA | 有 | 右 | 厚硬 | 白 | ネピネピトイレット無香料ダブル12R | 2代目 |
タイプB | 有 | 左 | 厚硬 | 灰 | リリナリサイクルトイレットペーパー12RW | 3代目 |
タイプC | 無 | 左 | 薄柔 | 白 | ネピネピトイレット無香料ダブル12R | 初代/4代目 |
タイプD | 有 | 左 | 薄柔 | 白 | 不明 | 初代 |
もし今まで初代として扱っていたものの内、秋~冬の間のものだけがタイプCで残りがタイプDであったなら、仮説3は収集初期に対しても適用できることになります。
ただしタイプDに関する予想が正しかった場合、結局初期の芯の性質が現在のものと異なるという事になってしまうので、収集初期に対して仮説3を適用する意味はあまり無いです。
また、初期の10本の圧縮芯(と思われるもの)の内、タイプDが最外層に使われているのは2本だけでした。
収集期間とタイプCの推定出現期間を併せて考えると、不自然に少ないように思えます。
何にせよ、あれからタイプDには全く遭遇しなくなってしまったので、タイプDの謎が解ける見込みは全く無いです。
ところで、芯の仕様が一定でないという仮説1がほぼ実証されたことにより、以下の事実がわかります。
事実:折りやすい芯を安定して入手し続けることはできない。
なお、ここまでの話では「私が芯の収集を始めてから購入したトイレットペーパーはNとLのみである」ということを前提にしています。
トイレットペーパを買う店舗は3年間ずっと同じで、購入基準は「一番安いダブルロール」でほぼ固定されています。
なのでこの前提はほぼほぼあっていると考えているのですが、もし間違っていたら全てが台無しになります。
・・・ひとつ気になる点として、かなり昔に何故か1回だけシングルロールのトイレットペーパーを購入した記憶がある、というのがあります。
内部構造の違い
第1章・第2章で、芯には「長さの違い」や「縁の歪み」などの微妙な個体差があることを報告してきました。
そして今回、新たな個体差を発見しました。
まずはこちらの写真をご覧ください。

タイプAの折り畳みはかなりの回数をこなしてきたので、いつしか私は「外側に露出したカドと折り目の間隔を5mmにする」という癖がついてました。
この折り方をすると、芯の内側は以下のようになります。
見ての通り、内側のカドがちょうど折り目の位置に来ます。
別にカドと折り目の位置がピッタリ重なることに意味があるわけではないのですが、もしカドがほんの少しだけ折り目をまたいでいた場合はカドの部分だけ接着が剥がれてしまうので、それを防ぐという意味合いがあります。
ところが、あるときこんな個体が確認されました。

少々見辛いですが、内側のカドが折り目と離れていることがわかります。
この違いに気づいたのは27本目圧縮芯の作成中で、記録が少ないため詳細はまだよくわかっていません。
番号の特定
記録の紙面上では圧縮芯がいつ完成したか、いつ買った製品の芯が使われているかが詳細に記されていますが、一方で出来上がった圧縮芯の方はいつ完成したものかわからない状態で放置していました。
これが是正されたのは27本目からで、27本目の圧縮芯からはそれが何本目であるかを芯自体に書き入れるようにして、28本目からは圧縮前の芯1本ずつに対しても使い終わった日付を書くようにしました。

こうして27本目以降は番号順に並べられるようになったのですが、それ以前のものはどれが何番目かわからないままです。
この状況がどうしても気に入らなかったので、記録をもとにして27本目より古いものの番号を特定できないかと考えました。
結果、19、20、22、23番目の圧縮芯を見つけ出すことに成功しました。
何故この4本だけ特定できたか、理由は以下の画像を見れば一目瞭然でしょう。

タイプBが入っているからです。
しかもただ入っているだけでなく、4本ともタイプBの本数が違うという奇跡が起きていたのです。

これにより、記録上での圧縮芯の作成と芯の使い切りのタイミングと照らし合わせることでどれが何番目か特定できたというわけです。
それにしても、前回あんなにも酷評したタイプBの存在がこんなとこで役に立つとは思いませんでした。
印字
個体差の話と少し被る内容ですが、芯の表面に印刷された文字もよく見ると色々な違いがありました。
まずタイプAですが、印刷されている文字は全て「Hの後に数字9桁」という形になっています。
この文字列ですが、同一製品の同一パック内でも異なる文字列が印刷されているというケースが確認されました。

そしてタイプBでも同様に、同一パック内での文字列の差異がありました。

タイプBの文字列は「この紙管はトイレに流さないでください」という文と「2桁の数字が3個」の2行に分かれていますが、数字の方に違いが見られました。
最後にタイプCですが、こちらに関しては今のところ同一パック内での文字の違いは確認されていません。

印刷されている文字は「nepia」と「Yの後に数字7桁」の2行になっています。
ところで、タイプCの文字は線が太くて色も濃く、別の理由で視認性は悪いもののかなりはっきりと印刷されています。
なので、こんなことを考えてみました。
文字を元にして芯を繋ぎ合わせることができるのではないか、と。(文字だけでなく縁の斜めのラインも合わせます)
そしてそれを実行してみたところ、

10本中8本が一直線に繋がり、残りの2本も繋げることができました。
今回は1パック分(12本)の内の10本しか手元になかったためこのような結果になった訳ですが、もしも12本揃っていれば全てが繋がり合ってひとつなぎの大秘宝にでもなったかもしれませんね。
追記(返信)
第3章の元の記事の初版の投稿後、予想外の反響があり様々な有難いお言葉や有難くない言葉をいただきました。
というわけで、いただいたコメントの中から気になったものをいくつかピックアップして返信していきたいと思います。
自分も芯を集めている/集めたいと思ったことがある
価値も思い入れもないのに何となく捨てづらいゴミってありますよね。
例えば、フリスクのパッケージとか。

こういったタイプの捨てにくいゴミの存在には、以下の2点の要素が関わっているのではないかと思います。
- 構造・機能の適度な複雑性
- レアリティ
フリスクのケースは下側の本体と上側の蓋に分かれており、蓋を水平方向にスライドさせて開閉できるという、単なる菓子類のパッケージにしては比較的複雑な構造・仕様になっています。
この構造によるある種の「機能美」や、一箱分食べきらないと入手できないというレアリティが捨てにくさに繋がっているのではないかと考えられます。
トイレットペーパーの芯も同じで、厚紙が美しく重なった螺旋構造と整った円柱形、トイレットペーパーを1ロール使い切らないと手に入らないというレアリティによって人々の収集欲求を駆り立てているのではないでしょうか。
あとトイレットペーパーの場合に限った話ですが、ゴミとして出現してからゴミ箱に入れるまでの間に高確率で別の動作が挟まるので捨てるのが面倒臭くなるという理由もあると思います。
こいつの人生楽しそう
私の人生が他人から見て楽しそうなものであるかはともかく、芯収集が人生の楽しさに対してプラスに作用したのは確かです。
収集初期は指先へのダメージに心を折られそうになったりしましたが、数々の謎は私の人生に潤いを与えてくれました。
芸術的価値がありそう
私は芸術については全然詳しくないのでよくわからないのですが、どうやらトイレットペーパーの芯を素材としたアートを専門的に作っているアーティストが存在するようです。
あと「価値」といえば、各種検索エンジンで「トイレットペーパーの芯」で検索すると幼児教育者向けの活用情報が沢山出てきます。

そしてそれに混じって、
芯の販売情報が出てきます。どういう人が買うんでしょうか?
燃やしたい
何故かわかりませんが、私もそう思います。
もし何らかの理由で芯の収集を終えることになったら、キャンプファイアーみたいに積み上げて燃やしたいです。
ちなみに、調べてみたところ経緯は大きく異なるものの「トイレットペーパーの芯を圧縮して燃やす」という事を実践している方がいました。
不衛生では?
そうですか?
汚くなる要素といえばほぼ「トイレにあった」という点だけで、同じ空間にあるシャワーヘッドや歯ブラシを使い続けても平気だったので特に問題ないと思います。(私は大雑把な人間なのでよくわかりませんが、ユニットバスそのものを許容できないという潔癖症の方も存在すると思います)
...とは言っても100%安全とは言い切れず、例えば集めた芯に愛着がわいてベロベロ舐めまわしたりしたら何が起こるかわからないので、真似をする際は自己責任でお願いします。
製造会社に直接聞けば?
聞きません。
この手の記事では最後に関係者に話を聞いて答え合わせをするのが様式美と化していますが、個人的にはこんな(相手にとって)どうでもいいことの為に他人に時間を使わせたくないと考えています。
また、「謎と共に過ごす日々を続けたい」というのも解決を急がない理由の一つです。
日常生活の中でちょっと不思議な物事に遭遇するというのは誰の人生にでも起こりうることですが、そういった物事との向き合い方というのは人によって大きく異なるものです。
そして私はそういった謎に対して想像を膨らませることで好奇心を満たし、結果として日常生活に潤いが生じるタイプの人間です。
なので謎がアッサリ解けてガッカリするのが嫌なので、外部の力を使ってまで積極的に解決しようと思わないのです。
とにかく、この記事を読んでいただいた方々には「謎と共に生きる」という生き方の楽しさを伝えられたらいいなと思います。(理解していただけなくても、「そういう生き方もあるんだな」と思っていただけたら幸いです)
次回予告?
次回
意味もなく溜め続けたトイレットペーパーの芯が
400本に到達した
~偽りの兄弟編~
2022年 秋 公開予定
※このセクションの内容は第3章の元の記事にある内容をほぼそのまま転記したものです。
第3.5章
義兄弟
芯の本数が300本に到達し、タイプDの存在に気付いた直後、衝撃的な事態が発生しました。
もう二度と会えないと思っていたタイプDが再び目の前に現れたのです。
しかも意外なことに、タイプCと同一パック内から出現し、内側の文字列(Y2109243)も完全にタイプCと同じなのです。
ちなみに、上記の事例とは対照的な「同一パックから出た2本のタイプCの文字列が違う」というパターンも確認されたため、Nの芯は以下のような性質を持つことが予想できます。
仮説4:Nの芯の種類と文字列は、それぞれ独立に切り替わる。
さて、300本到達後に入手した芯の記録と初期のタイプDの存在を時系列に書き加えると、以下の通りになります。

Nの芯が秋頃にタイプCに切り替わるというのは2020・2021年で共通していますが、Aに切り替わるタイミングは大きく異なりました。
また、第3章では「2019年の収集最初期はタイプDが出て、秋頃からタイプCに変わったのではないか」と予想していました。
さらに、最初期の製品はLではないかという第2章での仮説を否定し、むしろ最初期の製品はNと考えるのが妥当だろうということも言っていました。
しかし、2021年11月のタイプDの出現により、これらの推論の正当性は揺らいでしまいます。
11月でのタイプDの出現は収集最初期のタイプ変遷の予想とは一致しませんし、タイプ変遷が違うならば同じNであるという根拠も薄れてしまいます。
第3章で言ったように「収集初期の芯の性質は現在と異なる」と仮定すればこれらの仮説が崩れることは無くなりますが、そうなると今回のDとの再会によって新たな情報は得られなかったことになります。
見落とし
この記事の執筆中、意外な事実を発見しました。
どうやら第2・3章の元の記事を執筆したとき、私はとんでもない見落としをしていたようです。
それは、
第1章の元記事に、2代目の製品名が書かれていることです。
この製品名、なんと第3章で"N"と定義したものと全く同じなのです。
この事実により、ついさっきの説明も含む仮説2の考察は完全に覆されてしまいます。
まず、2代目がNであるのならば「初代はNと同じ製品ではないか」という第3章での考察は明らかに偽であることがわかります。
そして、初代がLであるという仮説2を否定できる根拠は「LからタイプB以外の芯が出たことがない」という事だけとなり、仮説2は再び有力なものとなります。
なお、これらの議論が「今まで買った製品はNとLだけ」という仮定に依存しているのは相変わらずなので、そこが崩れればまた話は変わってきます。
おわり
突然ですが、私は2022年の3月をもって芯の収集を打ち切らなければならなくなりました。
簡単に説明すると「人生が全部嫌になって大学を辞め、実家で暮らすことになった」という事が起き、トイレットペーパーに関する各種権限を失ったため収集・統計に支障が出るようになってしまったため断念したというわけです。

思えば手元に残った345本の芯は、無味乾燥で孤独でありつつも自由だった学生生活の象徴的存在とも思えます。
実生活上のあらゆる苦痛と本質的に無関係であるトイレットペーパーの芯は私に現実逃避の時間を与え、ささやかな謎を見せることにより生活に潤いを与えることすらしました。
しかしそんな生活は破綻を迎え、辛い現実と向き合う時が来てしまいました。
というわけで、
圧縮芯は封印することにしました。
いつかまた自由な生活を、私の人生を取り戻した暁にはこの封印を解いて芯達と暮らそうと思います。
それでは、さようなら。