ペットボトルの対称性を見る
どうも、チオールです。
最近、サンガリアのまろやかいちご&ミルクを飲んでいるとき、奇妙なことに気付きました。
まず、この商品のボトルの中央部分は、6角柱状の形になっています。
そして、ボトルを真上から見ると16本の溝が等間隔に刻まれています。
さらに、ボトルの底面には5本の溝が放射状に刻まれています。
ということは、このボトルは6回回転対称、16回回転対称、5回回転対称という3つの異なる回転対称性を部分的に合わせ持っていることになります。
回転対称性というのは、図形を回転させたときに回転前の形とぴったり重なるような性質のことで、360°回転させ切るまでにN回重なることをN回回転対称である、といいます。
ピンとこない人は「N回回転対称な図形は、正N角形みたいな図形」とだけ考えてもらえばOKです。
こりゃぁ面白い、と思ったので私は約2か月にわたって自分が飲んだ飲み物のボトルを記録し続けました。
というわけで、記録したボトルの対称性の面白さを数値化し、面白かったボトルTOP5をランキング形式で紹介したいと思います。
ルール
得点の計算に必要なルールを説明します。
ルール1:3箇所の回転数を使って採点
先程の説明ではまろやかいちご&ミルクの
- 上部の円錐状の部分
- 側面
- 底面
の3箇所の回転数(N回回転対称のNの値)を取り上げましたが、ランキングでも基本的にこの3箇所のみの値で得点を計算します。
また、「縦長の物体の3箇所の外周の値」というのは人間のスリーサイズという概念に似ているので、3つの回転数を上から順にB、W、Hと呼ぶことにします。
ルール2:B、W、Hの最小公倍数をスコアとする
念のために説明しておくと、B、W、Hの最小公倍数とは「B、W、Hのどの数の倍数にもなっているような最も小さい数」のことです。
例えば3、4、10の最小公倍数は60で、実際に割ってみると3の倍数にも4の倍数にも10の倍数にもなっていることがわかります。
なぜB+W+HやB×W×Hなどの分かりやすい式にしないかというと、最小公倍数の方が「対称性の面白さ」を忠実に数値化できると思ったからです。(ここから先はちょっと難しい話になるので、パッと見で読むのがダルそうだと思ったらルール3の説明まで読み飛ばしてください)
そもそも私が最初に感じた面白さというのは、「異なる対称性を持つ部分構造が混在していること」によるものでした。
例えば回転数が24、12、4であるボトルがあったとします。
これも3つの異なる対称性が混在しているように思えるかもしれませんが、24回・12回回転対称な図形は4回回転対称な図形と同じく「90°ずつ回転させるとぴったり重なる」という性質を持っているので「異なる対称性を持っている」という感じが弱くてあまり面白く無いです。
一方で回転数を1ずつ減らした23、11、3という組み合わせは似たような対称性のペア(12と4、24と4みたいなもの)が含まれないので、これこそが「異なる対称性が混在していて面白い組み合わせ」になっています。
そして最小公倍数こそがこの優劣を表現することに最適で、実際に24、12、4のボトルは24ポイント、23、11、3は759ポイントというように面白さが数値の大小関係に表れています。(なぜそうなるかの説明は面倒なので省略します)
ルール3:真円の回転数は1とする
「円って正∞角形だから、回転数は∞じゃないの?」と思うかもしれませんが、回転数に無限大が入ってくるとスコアも無限大になってしまって面白くないので1とします。
ルール4:細かい点は大目に見る
ボトルをよく観察すると「底面の中央の出っ張りが中心からずれている」「側面に1か所だけリサイクルマークが描かれている」などの理由で対称性が崩れていることがあるのですが、そういう細かいことは無視します。
また、ボトルによっては「胴体部分のド真ん中は円形だが、その少し下に回転対称性のある模様がある」というケースが見られました。
なのでWの値を測る位置は、ド真ん中に拘らず対称性が一番はっきりしている所を適当に選ぶことにします。
というわけで、以上のルールを元にした得点によるランキングを発表します。
5位:CRAFT BOSS ほうじ茶ラテ 他(42pt)
5位にランクインしたのは、(B,W,H)=(2,7,6)で42ポイント獲得したCRAFT BOSS ほうじ茶ラテ。
注目すべきはW=7という値で、ぱっと見は円柱形に見えるもののラベルを剥がしてみると下部に波状の模様が隠されており、この部分が7回回転対称になっています。
持ちやすさを考慮してなのか、ペットボトルの胴体部分は4、6、8角形などの偶数角形になっていることが多いです。
なので、W=7どころかWが(1より大きい)奇数になるデザイン自体が結構レアな気がします。
また、上部に「BOSS」の文字とBOSSおじさんが2回回転対称に描かれている点も特徴的ですが、こちらは残念ながらスコアに寄与せず42点止まりとなりました。
ちなみに、ほうじ茶ラテ以外にも抹茶ラテやメローラテなどのCRAFT BOSSシリーズの多くは全く同じ形状のボトルでした。
4位:午後の紅茶まろやか白桃ミルクティー 他(56pt)
午後の紅茶まろやか白桃ミルクティーとCRAFT BOSS ヘーゼルナッツ・塩バニララテが56ポイントで4位にランクイン。
まず午後の紅茶まろやか白桃ミルクティーは、(B,W,H)=(1,8,7)という組み合わせでした。
WとHの2箇所の数値のみで勝負し、なおかつその2つの値には一切無駄がないという、ある種の潔さを感じる結果となりました。
また、今回の調査結果の中ではHの値は6が最多で、次に多いのは8、1、5で、H=7という値はこの1本のみでした。
日常生活において7回回転対称な図形に遭遇すること自体が結構レアで、このようにはっきり見える形で(5位のW=7は見た目ではわかりにくい)7回回転対称になっているこのボトルは貴重な存在と言えるでしょう。
次に同率4位のCRAFT BOSS ヘーゼルナッツ・塩バニララテですが、BとWは他のCRAFT BOSSシリーズと同じく2と7だったものの、H=8となっており他とは一線を画していました。
他にもボトルのサイズが少し大きかったり、上部の2回回転対称BOSSおじさん模様が2段になっていたりと、まるでCRAFT BOSSのボスのような一味違うデザインでした。
また、5位のCRAFT BOSS群はどれも同じ形のボトルでしたが、今回のように異なる形状・異なる回転数の組み合わせによる同率ランクインが起こり得るというのはなかなか興味深いですね。
3位:カルピスとwelch'sグレープ 他(60pt)
カルピスとwelch'sグレープ、やかんの麦茶、爽健美茶の3本が60ポイントで3位にランクイン。
まずカルピスとwelch'sグレープの回転数は(B,W,H)=(1,12,5)という組み合わせでした。
ラベルの下に対称性を隠し持っている様は5位のCRAFT BOSSシリーズに、2箇所の値のみで無駄なく勝負する潔さは4位のまろやか白桃ミルクティーにも重なります。
一方、やかんの麦茶の方は(B,W,H)=(12,12,5)となっていました。
※爽健美茶も全く同じ形状のボトルでした。
BとWの部分には細やかで美しい幾何学模様があしらわれているのですが、対称性だけ見ればどちらも同じ12回回転対称となっているため無駄になってしまっています。
2位:サンガリア まろやかいちご&ミルク(240pt)
3位以下に大差をつけて単独2位に躍り出たのは、なんとあのサンガリア まろやかいちご&ミルク。
企画発足のきっかけとなった一本ですが、(B,W,H)=(16,6,5)で240ポイントとまさかの超高得点でした。
1位:伊藤園 濃い茶(280pt)
1位の座に輝いたのは、伊藤園 濃い茶。
(B,W,H)=(70,8,8)と、WとHは適当な数値でBだけめちゃくちゃ大きくするという大胆な作戦により280点というハイスコアを叩き出しました。
最後に
1位の伊藤園 濃い茶の対称性が面白いかは疑問の余地がありますが、「Bがめっちゃデカいから勝った」とでもいうべき結果は意外性があって少し笑えました。
また、ペットボトルの対称性を意識して、Bを眼前に据えながら指先でWを感じ、飲むにしたがって徐々に見えてくるHに思いを馳せるというのは中々新鮮な体験でした。
というわけで、皆さんも飲み物を飲む際にボトルの形状に目を向けてみてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら。
おまけ
ランク外も含めた調査結果を置いておきます。
※炭酸飲料は(B,W,H)=(1,1,5)ばかりなので除外しました。
順位 | 名前 | B | W | H | 得点 |
1 | 伊藤園 濃い茶 | 70 | 8 | 8 | 280 |
2 | まろやかいちご&ミルク | 16 | 6 | 5 | 240 |
3 | カルピスとwelch'sグレープ | 1 | 12 | 5 | 60 |
3 | 爽健美茶 | 12 | 12 | 5 | 60 |
3 | やかんの麦茶 | 12 | 12 | 5 | 60 |
4 | CRAFT BOSS ヘーゼルナッツ・塩バニララテ | 2 | 7 | 8 | 56 |
4 | 午後の紅茶まろやか白桃ミルクティー | 1 | 8 | 7 | 56 |
5 | CRAFT BOSS ほうじ茶ラテ | 2 | 7 | 6 | 42 |
5 | CRAFT BOSS 抹茶ラテ | 2 | 7 | 6 | 42 |
5 | CRAFT BOSS メローラテ | 2 | 7 | 6 | 42 |
6 | GREEN DA・KA・RA 優しい麦茶 | 6 | 6 | 8 | 24 |
7 | カルピス THE LICH | 4 | 4 | 8 | 8 |
7 | GREEN DA・KA・RA MILCOA | 1 | 1 | 8 | 8 |
8 | 綾鷹カフェ ほうじ茶ラテ | 1 | 1※ | 6 | 6 |
8 | 綾鷹カフェ 抹茶ラテ | 1 | 1※ | 6 | 6 |
8 | GEORGIA ミルクコーヒー | 1 | 6 | 1 | 6 |
8 | 紅茶花伝 ロイヤルミルクティー | 1 | 6 | 6 | 6 |
9 | 午後の紅茶MILK TEA | 4 | 4 | 1 | 4 |
9 | BOSS ダブルの生クリームでとろけるカフェオレ | 4 | 4 | 1 | 4 |
9 | BOSS ダブルの生クリームでとろけるカフェオレビター | 4 | 4 | 1 | 4 |
※真円ではなく非対称
気になった点
- 24ポイントのボトルは1本しかなかったが、24の約数の登場頻度からするともっと多くてもいいのではないか。(偏ったのは単にサンプル数が少ないからだろう)
- 240ポイントと60ポイント、24ポイントと8ポイントの間に入るボトルが無いのが意外。(120ポイントと10ポイントはあまり珍しくないかもしれない)
- 4ポイント未満のボトルは存在するか?(1、2ポイントはありそうだが3ポイントは無さそう)