偽計数学妨害罪

うるせぇ、こっちは遊びで数学やってんだよ

未解決問題で暇つぶし

こんにちは、108Hassiumです。


少し前、とある数学の未解決問題に関する論文がTwitterで話題になりました。


そう、


コラッツ予想です。


ja.wikipedia.org


2019年の12月に、解決に向けた大きな進展があった(完全解決ではないらしい)ようです。


えっ?


ABC予想じゃないのか」って?


あれについては他の人によってもう説明し尽くされたと思うので、今更私が語れることは無いです。


というわけで、コラッツ予想の話をします。

コラッツ予想って何?

まず、好きな自然数を1つ思い浮かべてください。


その数がもし偶数だったら2で割って奇数だったら3倍して1を足してください。


計算できましたか?


そしたら次はその数に対して同じ操作をします。偶数だったら2で割って奇数だったら3倍して1を足してください。


これをずっと繰り返してください。


途中で1になりませんでしたか?


これがコラッツ予想です。


正確に言うと、こうです。

  • コラッツ予想:自然数に対して「偶数だったら2で割って奇数だったら3倍して1を足す」という操作を繰り返すと、どんな自然数から始めても必ず1になるだろう。


例として7から計算を始めると、7,22,11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1となり、ちゃんと1になります。


先ほど言った通りコラッツ予想は未解決の超難問ですが、問題の内容自体は非常に単純です。


実際、私がこの問題に初めて触れたのは小学生のときで、教室の本棚に教員が置いたパズル本に載っていました。


この小学校レベルの問題について、数学者のポール・エルデシュは次のように述べました。

「数学はまだこの種の問題に対する用意ができていない」


かの有名なフェルマー予想の「それを書くにはこの余白は狭すぎる」みたいで格好いいですね。

数値実験

コラッツ予想の面白いところは、数値計算が簡単かつ楽しいことです。


数値がどう増減するかはほとんど予測不能なので、暇つぶしに最適です。


というわけで、30以下の数について計算してみましょう。


※偶数から始めても奇数になるまで2で割り続けるだけなので、初期値は奇数に限定します。


3,10,5,16,8,4,2,1


5,16,8,4,1


7,22,11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


15,46,23,70,35,106,53,160,80,40,20,10,5,16,8,4,2,1


17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


19,58,29,88,44,22,11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


21,64,32,16,8,4,2,1


23,70,35,106,53,160,80,40,20,10,5,16,8,4,2,1


25,76,38,19,58,29,88,44,22,11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


27,82,41,124,62,31,94,47,142,71,214,107,322,161,484,242,121,364,182,91,274,137,412,206,103,310,155,466,233,700,350,175,526,263,790,395,1186,593,1780,890,445,1336,668,334,167,502,251,754,377,1132,566,283,850,425,1276,638,319,958,479,1438,719,2158,1079,3238,1619,4858,2429,7288,3644,1822,911,2734,1367,4102,2051,6154,3077,9232,4616,2308,1154,577,1732,866,433,1300,650,325,976,488,244,122,61,184,92,46,23,70,35,106,53,160,80,40,20,10,5,16,8,4,2,1


29,88,44,22,11,34,17,52,26,13,40,20,10,5,16,8,4,2,1


御覧の通り、27だけ異様に長くなります。


1になるまでの計算回数は111回、途中で出現する数の最大値は9232です。


これを見て、ふとこんな疑問が浮かびました。

  • 疑問1:コラッツ数列の長さってどんな感じで増えるの?
  • 疑問2:コラッツ数列の最大値ってどんな感じで増えるの?

※コラッツ数列:「偶数だったら(略)」の操作を繰り返してできる数を順番に並べた列のこと


一つ一つ手計算して挙動を観察してもいいんですが、さっさと続きを読みたい人もいらっしゃると思うので文明の利器【PC】の力を借りたいと思います。


f:id:Hassium277:20200415223406p:plain


初期値が9999以下のコラッツ数列の長さを計算するコードです。


これを実行して出力されたデータをExcelでグラフ化すると、こうなります。


f:id:Hassium277:20200415223529p:plain


乱高下していますが、規則的な模様っぽいものも見えます。


増加の様子を見るため、次は最大値だけを見てみます。(ついでに範囲を24999まで広げます)


f:id:Hassium277:20200415225720p:plain


どうやら初期値の増加に対して長さの増加は非常に遅く、27のときの長さはかなり特殊だったようです。


ただし、これはあくまでも有限の範囲を見ただけなので、この後とんでもない値が出る可能性も十分あり得ます。


続いて、列中の最大値を見てみます。


f:id:Hassium277:20200415232254p:plain


なんかめちゃくちゃデカい値がありますね。


どのくらいデカいのかわからないので、初期値で割ってみます。


f:id:Hassium277:20200415234134p:plain


割ってもまだデカいですね。


どうやら初期値が9663のとき、初期値の約2806倍まで増加するようです。


ここまでの結果をまとめます。

  • 疑問1→コラッツ数列の長さの増加はかなり緩やかである(ように見える)
  • 疑問2→コラッツ数列の最大値はめちゃくちゃデカくなることがある

派生問題

コラッツ予想には、「3n+1予想」(または3n+1問題)という別名があります。


奇数だった時の「3倍して1を足す」にちなんだ名称ですが、この部分を変えることでコラッツ予想の亜種を考えることができます。


例えば、「偶数だったら2で割り、奇数だったら3倍して3を足す」という変形ルールを考えます。


このルールに従って計算すると、以下のような数列が得られます。


1,6,3

3,12,6,3

5,18,9,30,15,48,24,12,6,3

7,24,12,6,3

9,30,15,48,24,12,6,3

11,36,18,9,30,15,48,24,12,6,3

13,42,21,66,33,102,51,156,78,39,120,60,30,15,48,24,12,6,3

15,48,24,12,6,3

17,54,27,84,42,21,66,33,102,51,156,78,39,120,60,30,15,48,24,12,6,3

19,60,30,15,48,24,12,6,3,12,6,3

21,66,33,102,51,156,78,39,120,60,30,15,48,24,12,6,3

23,72,36,18,9,30,15,48,24,12,6,3,12,6,3

25,78,39,120,60,30,15,48,24,12,6,3

27,84,42,21,66,33,102,51,156,78,39,120,60,30,15,48,24,12,6,3

29,90,45,138,69,210,105,318,159,480,240,120,60,30,15,48,24,12,6,3


どの数も1ではなく3に収束するように見えます。


ちなみに3n+1のときの27のような変な挙動もちゃんと(?)あります。


53,162,81,246,123,372,186,93,282,141,426,213,642,321,966,483,1452,726,363,1092,546,273,822,411,1236,618,309,930,465,1398,699,2100,1050,525,1578,789,2370,1185,3558,1779,5340,2670,1335,4008,2004,1002,501,1506,753,2262,1131,3396,1698,849,2550,1275,3828,1914,957,2874,1437,4314,2157,6474,3237,9714,4857,14574,7287,21864,10932,5466,2733,8202,4101,12306,6153,18462,9231,27696,13848,6924,3462,1731,5196,2598,1299,3900,1950,975,2928,1464,732,366,183,552,276,138,69,210,105,318,159,480,240,120,60,30,15,48,24,12,6,3


3n+3ルールの場合の挙動は3n+1と比べてあまり差はありませんが、3n+5にすると大きな変化が生まれます。


1,8,4,2,1

5,20,10,5

19,62,31,98,49,152,76,38,19

23,74,37,116,58,29,92,46,23

187,566,283,854,427,1286,643,1934,967,2906,1453,4364,2182,1091,3278,1639,4922,2461,7388,3694,1847,5546,2773,8324,4162,2081,6248,3124,1562,781,2348,1174,587,1766,883,2654,1327,3986,1993,5984,2992,1496,748,374,187

347,1046,523,1574,787,2366,1183,3554,1777,5336,2668,1334,667,2006,1003,3014,1507,4526,2263,6794,3397,10196,5098,2549,7652,3826,1913,5744,2872,1436,718,359,1082,541,1628,814,407,1226,613,1844,922,461,1388,694,347

なんとループの種類が増えます


というわけで、こんな疑問が湧きます。

  • 疑問3:奇数のときのルールを変えたらループの種類はどう変わるの?


私は高校生の時、コラッツ予想の派生問題の数値実験にはまった時期がありました。


同級生たちがスマホゲーム(校則違反)に没頭している横で、合法的に電卓をポチポチしていました。


電卓で1項ずつ計算するしかなかった高校時代とは違い、今の私にはPCがあります。(実際、3n+5ルールでの187と347から始まるループは高校時代の自分には見つけられませんでした)


というわけで、自動計算によるループ探しを行います。


f:id:Hassium277:20200416042404p:plain


まず「1~999を初期値とする数列を500項計算して表示するプログラム」を書き、


f:id:Hassium277:20200416042814p:plain


目視でループの種類を判別し、採集します。


ちなみにこのプログラムを実行すると画面内に大量の数字がブワァァ~っと表示されるんですが、


f:id:Hassium277:20200416043759g:plain


いかにも「プログラミングしてます」って感じで格好いいですね。


…と思ったんですが、どう考えても効率悪すぎですね。


というわけで、改良しました。


f:id:Hassium277:20200416055429p:plain


これを実行すると、


f:id:Hassium277:20200416055605p:plain


3n+kルールで初期値が1~999のときに出現するループパターンが全部出力されます。


上の画像はk=5のときで、よく見ると先程の6種類のループと同じであることが分かると思います。


というわけで、これを使ってループを探しまくります。

  • 3n+1
    • 1,4,2,1
  • 3n+3
    • 6,3,12,6
  • 3n+5
    • 1,8,4,2,1
    • 38,19,62,31,98,49,152,76,38
    • 5,20,10,5
    • 23,74,37,116,58,29,92,46,23
    • 374,187,566,283,854,427,1286,643,1934,967,2906,1453,4364,2182,1091,3278,1639,4922,2461,7388,3694,1847,5546,2773,8324,4162,2081,6248,3124,1562,781,2348,1174,587,1766,883,2654,1327,3986,1993,5984,2992,1496,748,374
    • 1334,667,2006,1003,3014,1507,4526,2263,6794,3397,10196,5098,2549,7652,3826,1913,5744,2872,1436,718,359,1082,541,1628,814,407,1226,613,1844,922,461,1388,694,347,1046,523,1574,787,2366,1183,3554,1777,5336,2668,1334
  • 3n+7
    • 10,5,22,11,40,20,10
    • 7,28,14,7
  • 3n+9
    • 18,9,36,18
  • 3n+11
    • 1,14,7,32,16,8,4,2,1
    • 26,13,50,25,86,43,140,70,35,116,58,29,98,49,158,79,248,124,62,31,104,52,26
    • 11,44,22,11
  • 3n+13
    • 1,16,8,4,2,1
    • 13,52,26,13
    • 358,179,550,275,838,419,1270,635,1918,959,2890,1445,4348,2174,1087,3274,1637,4924,2462,1231,3706,1853,5572,2786,1393,4192,2096,1048,524,262,131,406,203,622,311,946,473,1432,716,358
    • 844,422,211,646,323,982,491,1486,743,2242,1121,3376,1688,844
    • 682,341,1036,518,259,790,395,1198,599,1810,905,2728,1364,682
    • 454,227,694,347,1054,527,1594,797,2404,1202,601,1816,908,454
    • 574,287,874,437,1324,662,331,1006,503,1522,761,2296,1148,574
    • 502,251,766,383,1162,581,1756,878,439,1330,665,2008,1004,502
    • 283,862,431,1306,653,1972,986,493,1492,746,373,1132,566,283
    • 319,970,485,1468,734,367,1114,557,1684,842,421,1276,638,319
  • 3n+15
    • 114,57,186,93,294,147,456,228,114
    • 3,24,12,6,3
    • 30,15,60,30
    • 138,69,222,111,348,174,87,276,138
    • 1122,561,1698,849,2562,1281,3858,1929,5802,2901,8718,4359,13092,6546,3273,9834,4917,14766,7383,22164,11082,5541,16638,8319,24972,12486,6243,18744,9372,4686,2343,7044,3522,1761,5298,2649,7962,3981,11958,5979,17952,8976,4488,2244,1122
    • 4002,2001,6018,3009,9042,4521,13578,6789,20382,10191,30588,15294,7647,22956,11478,5739,17232,8616,4308,2154,1077,3246,1623,4884,2442,1221,3678,1839,5532,2766,1383,4164,2082,1041,3138,1569,4722,2361,7098,3549,10662,5331,16008,8004,4002
  • 3n+17
    • 1,20,10,5,32,16,8,4,2,1
    • 50,25,92,46,23,86,43,146,73,236,118,59,194,97,308,154,77,248,124,62,31,110,55,182,91,290,145,452,226,113,356,178,89,284,142,71,230,115,362,181,560,280,140,70,35,122,61,200,100,50
    • 17,68,34,17
  • 3n+19
    • 112,56,28,14,7,40,20,10,5,34,17,70,35,124,62,31,112
    • 19,76,38,19
  • 3n+21
    • 30,15,66,33,120,60,30
    • 42,21,84,42
  • 3n+23
    • 110,55,188,94,47,164,82,41,146,73,242,121,386,193,602,301,926,463,1412,706,353,1082,541,1646,823,2492,1246,623,1892,946,473,1442,721,2186,1093,3302,1651,4976,2488,1244,622,311,956,478,239,740,370,185,578,289,890,445,1358,679,2060,1030,515,1568,784,392,196,98,49,170,85,278,139,440,220,110
    • 5,38,19,80,40,20,10,5
    • 7,44,22,11,56,28,14,7
    • 23,92,46,23
  • 3n+25
    • 28,14,7,46,23,94,47,166,83,274,137,436,218,109,352,176,88,44,22,11,58,29,112,56,28
    • 34,17,76,38,19,82,41,148,74,37,136,68,34
    • 5,40,20,10,5
    • 190,95,310,155,490,245,760,380,190
    • 25,100,50,25
    • 115,370,185,580,290,145,460,230,115
    • 1870,935,2830,1415,4270,2135,6430,3215,9670,4835,14530,7265,21820,10910,5455,16390,8195,24610,12305,36940,18470,9235,27730,13865,41620,20810,10405,31240,15620,7810,3905,11740,5870,2935,8830,4415,13270,6635,19930,9965,29920,14960,7480,3740,1870
    • 6670,3335,10030,5015,15070,7535,22630,11315,33970,16985,50980,25490,12745,38260,19130,9565,28720,14360,7180,3590,1795,5410,2705,8140,4070,2035,6130,3065,9220,4610,2305,6940,3470,1735,5230,2615,7870,3935,11830,5915,17770,8885,26680,13340,6670
  • 3n+27
    • 54,27,108,54
  • 3n+29
    • 1,32,16,8,4,2,1
    • 44,22,11,62,31,122,61,212,106,53,188,94,47,170,85,284,142,71,242,121,392,196,98,49,176,88,44
    • 29,116,58,29


まずわかることとして、どの場合でも「k,4k,2k,k」というループがあります。


まぁこれは実際に計算したらそうなるというだけで特に面白くもないです。


あと、ループが1種類しか見つからなかったのはk=1,3,9,27ですが、これらは全て3の冪乗です。


試しにk=81,243,729も計算してみましたが、やはりループは1種類しか見つかりませんでした。

  • 疑問4:kが3の冪乗のときのループってk,4k,2k,kだけなの?


また、k=21のときのループをよく見てみると、

  • 30,15,66,33,120,60,30=3×(10,5,22,11,40,20,10)
  • 42,21,84,42=3×(14,7,28,14)


k=7のときのループを3倍しただけの列になっていることが分かります。


もしやと思ってk=63を計算してみると、

  • 90,45,198,99,360,180,90=9×(10,5,22,11,40,20,10)
  • 126,63,252,126=9×(14,7,28,14)


やはりk=7のときの9倍になっていました。


このことから、疑問4を以下のように拡張することができます。

  • 疑問4(新):3n+3^mkルールでのループって3n+kルールのときのやつを3^m倍したやつだけなの?



さて、ここまでの話は3n+1の1の部分を変えた場合の話でしたが、3の部分を変えるとどうなるのかも気になります。


というわけで、まずは5n+1ルールで数列を計算してみましょう。


1,6,3,16,8,4,2,1

3,16,8,4,2,1,6,3

5,26,13,66,33,166,83,416,208,104,52,26

7,36,18,9,46,23,116,58,29,146,73,366,183,916,458,229,1146,573,2866,1433,7166,3583,17916,8958,4479,22396,11198,5599,27996,13998,6999,34996,17498,8749,43746,21873,109366,54683,273416,136708,68354,34177,170886,85443,427216,213608,106804,53402,26701,133506,66753,333766,166883,834416,417208,208604,104302,52151,260756,130378,65189,325946,162973,814866,407433,2037166,1018583,5092916,2546458,1273229,6366146,3183073,15915366,7957683,39788416,19894208,9947104,4973552,2486776,1243388,621694,310847,1554236,777118,388559,1942796,971398,485699,2428496,1214248,607124,303562,151781,758906,379453,1897266,948633,4743166,2371583,11857916,5928958,2964479,14822396,7411198,3705599,18527996,9263998,4631999,23159996,11579998,5789999,28949996,14474998,7237499,36187496,18093748,9046874,4523437,22617186,11308593,56542966,28271483,141357416,70678708,35339354,17669677,88348386,44174193,220870966,110435483,552177416,276088708,138044354,69022177,345110886,172555443,862777216,431388608,215694304,107847152,53923576,26961788,13480894,6740447,33702236,16851118,8425559,42127796,21063898,10531949,52659746,26329873,131649366,65824683,329123416,164561708,82280854,41140427,205702136,102851068,51425534,25712767,128563836,64281918,32140959,160704796,80352398,40176199,200880996,100440498,50220249,251101246,125550623,627753116,313876558,156938279,784691396,392345698,196172849,980864246,490432123,2452160616,1226080308,613040154,306520077,1532600386,766300193,3831500966,1915750483,9578752416,4789376208,2394688104,1197344052,598672026,299336013,1496680066,748340033,3741700166,1870850083,9354250416...


何だか様子がおかしいです。


値がどんどん大きくなり、ループする気配がありません。


そういえば、3n+kルールのループ探しでは何の根拠もなく「どんな数から始めてもループに入る」と仮定していましたが、よく考えてみると当たり前のことではないようです。

  • 疑問5:3n+kルールでループに入らず無限大に発散することって無いの?


さて5n+1ルールの話に戻りますが、50000回計算して常用対数をとるとこんな感じになりました。


f:id:Hassium277:20200416234525p:plain


おおよそ直線状になりました。


対数をとると直線状になるという事は、もとの値は指数関数的に増加しているという事になります。


また、詳細は省きますが他の5n+kルールでも初期値によっては値が爆発してしまいます。


…と思ったのですが、よく考えると本当に無限大に発散するかどうかは自明ではありません。


めちゃくちゃデカい数になったとはいえ、この後急に「めっちゃ2で割れる数」になって値が小さくなる可能性も否定できません。

  • 疑問6:5n+kルールって本当に発散するの?



さてここまでコラッツ数列の変種について解説(?)したわけですが、上記のもの以外にも

  • 初期値をマイナスにしてみる
  • 2で割った後に1を足してみる
  • 3で割った余りで分岐させてみる
  • 3項間漸化式にしてみる

等、いくらでも面白そうなバリエーションを考えることができます。


しかし、思いつくもの全部に触れようとすると文字数がとんでもないことになる(無限大に発散するかはわからない)ので、この辺で一旦切り上げようと思います。

この木なんの木

ふと、こんな図を作ってみました。


f:id:Hassium277:20200419162332p:plain


これはコラッツ数列を逆に計算したもので、同じ計算回数(20回まで)で1になる数が縦に並んでいます。(緑色のは3の倍数です)


具体的には、以下の規則で数を並べています。

  • nの右に2nを書く
  • nを6で割った余りが4なら(n-1)/3を書く

例えば6回で1になる数は{64,10}ですが、その右には{64×2,(64-1)/3,10×2,(10-1)/3}={128,21,20,3}という列が並びます。


とりあえずこの図(を無限に続けたもの)を「コラッツ木」と命名します。


コラッツ木を使うと、コラッツ予想はこのように書き換えることができます。

  • コラッツ予想:コラッツ木にはすべての自然数が出現する


余談ですが、私には画像を自動生成できるだけの技術力は無いため、先程の図は手描きです。


さて、まずは図中の特徴的な箇所をいくつかピックアップしてみましょう。(以下、1になるまでの計算回数をsとします。)

s=0~3

f:id:Hassium277:20200419224103p:plain


ループの部分です。

s=6,7

f:id:Hassium277:20200419225609p:plain


3の倍数(緑色の数)が最初の現れる場所です。


3の倍数は何回2を掛けても「6で割って4余る数」にはならないため永久に分岐が生じないという性質があります。

s=15,16

f:id:Hassium277:20200419230702p:plain


s=15と比べると、s=16は縦線の密度が低いように見えます。


これはつまり分岐の数が少ないという事で、実は「1本の枝が2ステップ連続で分岐することは無い」という性質があるので序盤ではこういうことが起きます。


個数といえば、こういうことが気になってきます。

  • 疑問7:コラッツ木の各列の数の個数ってどんな感じで増えるの?


s=20までで実際に数えてみるとこうなりました。


1,1,1,1,1,2,2,4,4,6,6,8,10,14,18,24,29,36,44,58,72


PCにこの先を計算させてグラフ化して、という手順を踏んでもいいのですが、今回の場合はもっといい手段があります。


oeis.org


オンライン整数列大辞典【OEIS】です。


その名の通り整数列の辞書的サイトで、有限数列を入力するとどんな数列かを教えてくれる非常に便利なサイトです。


というわけで、さっそく先程の数列を入力してみます。


f:id:Hassium277:20200419233400p:plain
1,1,1,1,1,2,2,4,4,6,6,8,10,14,18,24,29,36,44,58,72 - OEIS


1件ヒットしました。


私のクソザコ英語力を駆使して読んだ感じでは、どうやら同じ定義の数列っぽいです。


有難いことに、OEISにはグラフを表示してくれる機能もあります。


f:id:Hassium277:20200419234610p:plain
A005186 - OEIS


どうやら指数関数的に増加するようです。

  • 疑問7:→コラッツ木の各列の数の個数は指数関数的に増えるらしい。



次はコラッツ木の全体を見てみましょう。


木をぼんやりと眺めていると、連続する(=差が1の)自然数が縦に隣接している箇所があるのが分かります。


例えば、さきほどのs=7での21と20があります。


f:id:Hassium277:20200419225609p:plain


全体の中から「隣接する連続数の組」だけを抽出すると、こうなりました。


f:id:Hassium277:20200420001110p:plain


けっこうたくさんありますね。

  • 疑問8:コラッツ木上で連続する自然数が隣接する箇所って無限にあるの?
  • 疑問9:コラッツ木上で隣接する数の差になるような自然数ってどんな数?
  • 疑問10:コラッツ木上で同じ列にある数の差になるような自然数ってどんな数?


また、隣接連続数ほど多くはありませんが、3の倍数が隣接している箇所もあります。


f:id:Hassium277:20200420150647p:plain

  • 疑問11:コラッツ木上で3の倍数が隣接する非自明な箇所って無限に存在するの?


ここでいう「自明な箇所」とは前の列で既に隣接していた組のことで、上の図では{1200,43308}が該当します。





さて、一旦隣接連続数の方に話を戻します。


隣接連続数の組をよく観察すると、どの組も3ステップで同じ値に収束することが分かります。


f:id:Hassium277:20200420153514p:plain


このことから、以下のような法則を発見しました。


f:id:Hassium277:20200420200718p:plain


どうやら6n+4から必ず隣接連続数の組が発生するようです。

  • 疑問8:→コラッツ木上で連続する自然数が隣接する箇所は無限にある。
  • 疑問8(新):コラッツ木上で連続する自然数が隣接する箇所って6n+4から3ステップで生成されるやつ以外にあるの?


ちなみに3の倍数が隣接する箇所については、


f:id:Hassium277:20200421141439p:plain

  • 54n+46から6ステップで生成されるパターン
  • 162n+64から8ステップで生成されるパターン
  • 1458n+10から13ステップで生成されるパターン


の3種類が見つかりました。

  • 疑問11:→コラッツ木上で3の倍数が隣接する非自明な箇所は無限にある。
  • 疑問11(新):コラッツ木上で3の倍数が隣接する箇所って何種類あるの?

終わり

最後に、ここまでの疑問をまとめます。

  • 疑問1:コラッツ数列の長さってどんな感じで増えるの?
  • 疑問2:コラッツ数列の最大値ってどんな感じで増えるの?
  • 疑問3:奇数のときのルールを変えたらループの種類はどう変わるの?
  • 疑問4:3n+3^mkルールでのループって3n+kルールのときのやつを3^m倍したやつだけなの?
  • 疑問5:3n+kルールでループに入らず無限大に発散することって無いの?
  • 疑問6:5n+kルールって本当に発散するの?
  • 疑問7:コラッツ木の各列の数の個数ってどんな感じで増えるの?
  • 疑問8:コラッツ木上で連続する自然数が隣接する箇所って6n+4から3ステップで生成されるやつ以外にあるの?
  • 疑問9:コラッツ木上で隣接する数の差になるような自然数ってどんな数?
  • 疑問10:コラッツ木上で同じ列にある数の差になるような自然数ってどんな数?
  • 疑問11:コラッツ木上で3の倍数が隣接する箇所って何種類あるの?


算数に毛が生えた程度の知識で表面を撫でただけで、こんなにもたくさんの疑問が生まれました。


これらの疑問がどれほど難しいのかはわかりませんが、どれも多少は掘り返し甲斐のあるテーマだと思います。
※前例はほとんど調べていないので、もしかしたら全部議論され尽くしていて解決されているものもあるかもしれません。

また、ここまでで紹介したトピックの他にも「表裏一体の3n±kルール」「ループ個数の幻覚」「n/2+mルールという虚像」「無限無限ループ」等の面白い話があったのですが、さらなる探求は読者への演習問題とします。


それでは、良き暇つぶしを。